S.J.

営業部2013年度入社

湯浅糸道工業との出合いは、まさに「縁」だったと感じています。きっかけとしては、大学のキャリアセンターで求人を見つけて応募し、自分の中国語が存分に活かせることや、中国との貿易が盛んな企業だと説明を受けたことです。それだけでも十分魅力的だったのですが、入社を決めたのは、まだ内定前の段階で「上海で開かれる繊維機械・織機関連の展示会で、一緒に湯浅糸道のブースに立ってみないか？」と誘われたことでした。当時のその展示会に参加したことは、今でも忘れられない思い出です。展示会では、湯浅糸道の皆さんや現地の代理店の人たちと密な時間を過ごして、皆さんの人柄や優しさに触れることができました。日本の企業と聞くと、ドラマや映画の影響もあって、堅い雰囲気を想像していたのですが、皆さんとの交流を通して、そのイメージが一気に変わりました。

現地のホテルに２人１組で部屋に泊まり、一緒に過ごしたことは、まるで学生時代の合宿みたいで（笑）、とても温かい雰囲気が印象的でした。その時、この人たちと一緒に仕事をしていきたいなと心から思いました。そして、自分の母国語である中国語を活かせる環境があったことも大きかったです。この会社なら、自分のアイデンティティをしっかり活かして働けると確信した瞬間でした。

私の営業担当は、国内外にわたりますが、その中でも中国との取引は非常に多く、おおよそ2カ月に1度のペースで現地へ出張に行っています。その際は、事前に電話やメールで現地のお客様の課題を把握し、できる限り解決策を練ってからお伺いするようにしています。

中国での主な業務は、現地の代理店と協力しながら、湯浅糸道工業の主力部品であるオイリングガイドやインターレーサーを広く販売することです。また、お客様から「こういう糸を作りたいが、何か良い提案はないか？」といった話をよくいただきます。その際、私が大切にしているのは、単に既存の部品を代替するのではなく、何がお客様にとって最適なのかを常に考えることです。例えば、高性能の製品を紹介するのは簡単ですが、それではコストが高くなってしまいます。だからこそ、同じタイプの糸道製品でも、コストパフォーマンスを考慮したものを提案することが、私の大切な役割だと考えています。

営業という仕事のやりがいを感じるのは、お客様の課題を解決できた時です。
例えば、私が担当したあるお客様の現場で「湯浅の製品が原因で問題が発生している」と連絡があった時、すぐに現地へ調査に行きました。こういう場面で大切なのは、最初から製品そのものに問題があると決めつけず、多角的な視点で検証を行うことです。製品の扱い方や糸の取り付け方に問題があるかもしれないし、別の原因が潜んでいる可能性もあります。現場で実際に話を聞き、製造の流れを見ながら、徹底的に原因を突き止めることが重要です。

その時も、製品自体ではなく、扱い方に原因があることが分かりました。そして、設備の運転が正常に戻り、その課題を解消し、喜んでいただけた時は本当に嬉しく、頑張った甲斐があったなと感じます。そして、それによって築かれるお客様との信頼関係が、この仕事の一番の魅力だと思います。

私は入社後、技術部に１年ほど在籍し、多くの製品開発に携わりました。この間に、製品の構造と役割、湯浅糸道工業の技術力を基礎から学ぶことができました。それが今の仕事に非常に役立っていると感じています。
お客様から開発依頼を受けることも多いですが、まずは自分なりに製品の構造や仕様を考え、その後に技術部に検証を依頼するという方法を取っています。現場を熟知している自分の視点を反映した提案ができるのは、技術部での経験があってこその強みだと思っています。

特に思い入れのある製品としては、「嵌め込み式のオイリングガイド」ですね。これは、中国のお客様や代理店からの依頼を元に、技術部と共に開発を進めた製品で、ニーズに応じたカスタマイズが必要でした。次回の展示会でも、このオイリングガイドをPR商品として展開していく予定です。今後もお客様に満足していただける提案をしていきたいと考えています。